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フリーターのうち派遣社員や製造現場の請負作業員など、さらにコンピューターや語学の専門家には年収で正規社員に近い人もおり、年収で200万円を超える者もあって、平均は140万円である。 企業側が非正社員を雇用する理由としては、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応して」28.0%、「景気変動に応じて雇用量を調節」26.5%、「即戦力・能力のある人材を確保」26.3%などの積極的な理由以外に、「賃金の節約」が突出して多く51.7%、さらに「賃金以外の労務コストの節約」が22.5%となっている(厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」2003年)。
この数字から推測する限り、企業はおおむね経費節減のために正社員を非正社員に置き換えていったのだと言える。 問題は、株主と従業員、大企業と中小企業、都市と地方、正社員と非正社員の間で、関係がなだらかに続いているか否かだろう。
もし「格差」と呼べるものが大きくなく従来通りに前者と後者が結びついているのであれば、景気回復の第1段階では大企業や都市・正社員だけが恩恵を受けるのだとしても、次第にその影響は中小企業や地方、非正社員に波及していくはずだ。 それが「トリクル・ダウン」現象である。
アメリカでもレーガン政権以来、新自由主義はこの理屈を用いて格差の拡大を肯定してきた。 だが、中国などとの経済関係の濃密化すなわちグローバリゼーションによって、企業間の取引とりわけ大企業が行う対企業取引は、地方や中小企業よりも海外に向けられている。
中小企業や地方経済は、大企業や都市の下請け的な立場や長期的な取引を行うという慣行を維持できておらず、それゆえ大企業で輸出が増えても効果は波及していない。 そのうえ、公共投資は減っている。
大企業/中小企業、都市/地方、正社員/非正社員の間で緋が断ち切られたのである。 総じて、国内でさまざまな二極分化が起きているのである。
そうした二極化は、景況感を広めていない原因となっている。 それゆえ、マンガ「ドラゴン桜」の主人公である弁護士が高校生に向かって吐いた台詞が正しいことになる。

「社会のルールってやつはすべて頭のいいやつが作っている。 そのルールは頭のいいやつに都合のいいように作られているんだ。
逆に都合の悪いところはわからないように隠してある。 つまりお前らみたいに頭使わずに面倒くさがってると……一生だまされて高い金払わされるんだ」、と。
東大に入れば勝ち組になれる、というこのマンガの前提こそ怪しいものの、この台詞には説得力がある。 というのも、構造改革によって景気が回復したというのは、前述したようにどう見ても嘘であるし、構造改革のもとで景気がよくなれば皆が等しくその果実を得ることができるというのもまやかしだからだ。
構造改革は、理想としては「機会の均等」と「トリクル・ダウン」によって万人に好景気の恩恵を施すかのように唱えている。 けれども現実には、景気回復は大企業や都会、正社員に都合よく果実をもたらし、それは中小企業や地方、非正社員の全域には及びそうにない。
経済は、「分断」されたのである。 では、「分断」はどう意識されているだろうか。
その様子を、消費動向について見てみよう。 本来、企業部門が回復すれば、賃金やボーナスの増加が個人消費を押し上げるはずである。
ところが定期給与は、2001年度からマイナスの絶対値が縮小していったものの、04年にはまた拡大している。 それ以前から景気回復は指摘されていたが、それは定期給与のベースアップではなくボーナス、それも成果に応じて分配されていたのである。
けれどもそのボーナスにしても、3年連続で伸びたというのは、大企業を調査対象とする統計にもとづく認識であり、中小企業の実態は含まれていない。 ましてや非正社員は統計の対象外である。
それゆえ家計に格差が生じているなら、それは消費行動の相違としても表れているはずだ。 第2に、高額商品は売れているが、食品や日用品には爆発的な売れ行き傾向がない。
一時は「価格破壊」の象徴のように言われた紳士服で、安売り店でも10万円前後の高額スーツが売れ筋となっているし、ブランド品は依然として好調である。 Wが銀座にオープンさせた高級下着専門店は好調だし、Tも「L」は高級車ブランドである。

私の実感でも、若い職人が都心に高級鮪店を続々開店させているが、どこも賑わっている。 それも若い客が多い。
第3に、03年の日本銀行「資金循環統計」で家計部門が2.2兆円の赤字になった。 これは驚くべき出来事で、90年の調査開始以来、初めての現象である。
家計は、1年間に得た所得だけでは、年内の消費や投資を賄えない事態に陥っているのである。 内容を見ると、負債が0.7兆円減ったものの、資産も2.9兆円減っている。
資産の中身も、保険準備金と株式・出資金が大幅に取り崩され、現金・預金は増えているが増加幅が縮小している。 所得がさほど改善されないなかで消費が拡大しており、資金不足に陥った分を金融資産の大幅取り崩しで賄ったということだ。
それにつれ貯蓄率も4.8%と、過去最低になっている。 貯金が底をつきゼロになっている家計も2割あるというからただごとではない。

今や家計は貯蓄をするどころか、貯蓄を崩さなければ生活できなくなってきている。 資産を取り崩しても家計が楽しく消費しているのなら、なるほど問題はあるまい。
億ションをキャッシュで購入する、という例がそれに当たる。 だが現実には、家計にも二極分化が生じている。
上層/下層の双方で、何らかの理由から貯蓄性向が下がったという方が真実に近そうである。 こういった格差は、第2点で挙げた高額商品および日用品の購入者の相違を反映しているのだろう。
経済アナリストの木内登英が総務省の「家計調査年報」から指摘するところでは、03年の一世帯当たりの可処分所得と消費支出の伸びには、世帯主が勤務する企業の規模により著しい格差が生じている。 従業員が30人未満の中小・零細企業では前年比マイナス3.8%、500人未満の中堅企業では同マイナス2.0%であるが、対照的にそれ以上の大企業では同7.6%となっている。
スーパーや百貨店は、コンビニエンスストアや専門店などに小売りのシェアを奪われているのだ。 ただしそのコンビニにしても、1万店舗突破を記録した最大手のSがシェア23%を支配する一方で、中堅どころは合併を余儀なくされている。
第3点から検討してみよう。 貯蓄率の低下について高齢化が原因と見る向きもあるが、いかに日本の高齢化が急だとしても、低下傾向はそれよりも激しい。
個人消費のあり方に、何か異変が起きているのではないか。 思いつくのは、慣行的・必需的な部分が減り、消費が選択的になってきたということだ。
けれどもこれは、すでに1980年代から起きている現象で、昨今に現れたのではないか。 ここから推測されるのは、ともに資産を取り崩しているにせよ、高額商品や住宅を購入しているのが大企業の従業員であり、それ以下の企業に勤める者は消費を減らしても予算が不足しているという構図である。

勤務している企業の規模により、家計の上層/下層という差が歴然としているのだ。

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